菓葉暦

小暑

しょうしょ
7/7〜7/22頃
小暑

和菓子をどうぞ

菓銘 『岩清水』
みぞれ羹|大納言蜜漬け

各地で梅雨明けを迎え、太陽の熱が直接大地に届いてじりじりと気温が上がっていく頃。いよいよ夏の盛りへ。

梅雨のあいだに降った雨は山全体を潤す恵みの雨。上流で地下に染みこんだ水は地層によって不純物などがろ過され、ゆたかな湧き水となります。岩間から漏れ出した清水は夏のあいだ山を歩く人ののどを潤しからだの疲れを癒します。

梅雨明け直後に気をつけたいのは熱中症。まだ十分に汗をかける状態になっていないため体温調節がうまくいかず、さほど気温が高くなくても熱がこもりやすいのです。

効果的な予防策のひとつは15℃程度の水に触れること。深部体温が高くなると手のひらや足のうらの血管が太くなって熱を逃がそうとするからだのしくみを活かした方法です。湧き水や井戸水くらいの水温がちょうどよく、それよりも冷たいと血管が収縮してむしろ熱の逃げ道をふさいでしまいます。冷蔵庫から出したばかりのペットボトルで約5℃、少し時間をおいてからお使いください。

土用の丑の日前後、京都の下鴨神社の「みたらし祭り」では御手洗池の清水に足を浸して無病息災を祈る足つけ神事が行われます。この冷却効果を知ってか知らずか、厳しい夏を乗り切る知恵として続いてきたのでしょうね。

小暑イラスト 小暑イラスト

季節のからだ

汗の質を改善する「汗トレ」で夏バテ予防

立夏でご紹介したとおり夏のからだを楽にするカギは「汗」。汗が吹き出る季節を前に注目したいのは「汗の質」です。

梅雨時は湿気で汗の蒸発が抑えられたり雨で皮膚が冷えたりするため、汗腺はまだしっかりとはたらいていません。そのため、梅雨が明けてすぐの汗はベタベタしてにおう悪い汗。蒸発しにくく熱の発散がうまくいかない上、からだに必要なミネラル分も多く含まれ一緒に排泄してしまうので汗をかくと疲れます。

一方、良い汗はさらっとして乾きやすくにおいも控えめ。ほとんどが水分でミネラル分は分泌される前にからだに回収されるため、水分補給だけでもからだが回復しやすくなります。余分な熱の排出もスムースで、かくとすっきりするのが特徴です。

汗かき上手は夏バテ知らず。からだに堪える暑さがやってくる前に「汗トレ」で良い汗をかけるからだになりましょう。

ポイントは少しずつ暑さにからだを慣らすこと。血行や発汗を妨げないよう冷房は少し高めに設定する。晴れの日は積極的にからだを動かす。夜はぬるめの湯船につかってじんわりと汗をかく。暑熱馴化といってこうした過ごし方を続けると2週間ほどで汗の質が変わってきます。

良い汗がかけるようになるまでは水分+ミネラル分の補給やこまめな休憩がからだを守ります。失う前に補うのが鉄則。汗をかく前に補給する、疲れる前に休むことを心掛けると安心です。夏のミネラル補給には魚や貝、海藻など海のものをおすすめします。

汗が出すぎるときは梅干しや梅シロップで引き締めると体力の消耗を抑えられます。パワー不足の方に多く、がんばりすぎは禁物です。長湯も控えめにしてくださいね。

  • 冷房控えめ&汗をかく習慣で酷暑を乗りきれるからだにチェンジ
  • 汗トレ中はミネラル補給とこまめな休憩を意識的に
  • 汗のかき過ぎはパワー不足も一因、ムリせずからだを休めて

五感をひろげる一句

白シャツをなびかせ見上ぐ夏燕

夏燕とは種類ではなく、夏に見かける燕である。真夏の大気を切って飛ぶ姿は躍動感に満ちている。燦々と降り注ぐ陽光が、身に纏う白いシャツを光らせ風になびくとき、夏燕は真っ青な高空へと羽をすべらせる。(季語:夏燕)

作:志田円/「自鳴鐘」同人